【製造業のDX】日報は「邪魔」か「データ」か。現場とITを知るSEが語る、可視化の課題
こんにちは。システムエンジニアの上野です。
※この記事は、筆者(上野)の過去の個人的な実体験に基づき、製造業におけるデータ活用の課題と「伴走支援」の重要性について考察したものです。ケーエスピー株式会社の公式な見解や、特定の企業様(過去の在籍企業を含む)を批判・評価する意図は一切ございません。
突然ですが、製造業の現場にいらっしゃる皆さんに質問です。 「日報は、『邪魔』な作業ですか? それとも、貴重な『データ』ですか?」
この問いに、即答できる人は少ないかもしれません。 なぜなら、日報は「データ」として重要だと理解していても、日々の運用において「邪魔」な作業となり、形骸化している現場があまりにも多いからです。
私自身、新卒で入社した製造メーカーで、この「手書き日報」の運用に長年強い疑問を抱いていました。 「データとしての意義」は理解しつつも、「不正(改ざん)ができてしまう手書きの記録に、果たして意味があるのか?」と。
その会社が倒産し、IT業界を経て、再び製造業の立て直しに携わった経験から、あの時の私の疑問が正しかったこと、そして「可視化」を阻む本当の課題が見えてきました。
今日は、「現場」と「IT」の両方を知る私だからこそ語れる、製造業DXのリアルについてお話ししたいと思います。
1. なぜ、日報は「形骸化」するのか?
新卒時代、私が毎日書かされていた「手書き日報」。 それは、作業の内容、開始時間、終了時間、そして合計時間を記入するものでした。
しかし、この日報は「正確なデータ」とはほど遠いものでした。
多くの場合、記録した時間を合計しても実際の就業時間と一致せず、帳尻を合わせるのが日常。 さらに「標準時間」との比較で評価されるプレッシャーから、標準時間のない雑務の時間を水増しするといった「小細工」が横行していました。
「これでは、誰も本当の時間の把握なんてできない」
この時点で、日報は「データ」としての意味を失っていると私は感じていました。 「不正ができる記録」に意味を見いだせず、日報を書かない日が増え、上司から「残業代が出せないぞ」と叱責されたこともあります。
今思えば、データを取ろうとする行為自体を放棄した私の行動は間違っていました。 しかし、当時の私が抱いていた「手書きの運用では、正確なデータは取れない」という懐疑的な視点は、この問題の本質だったのです。
2. 「データ」の必要性を再認識した現場
「手書き」という手法に疑問を持っていた私ですが、その「日報(データを取ろうとする行為)」の必要性を全く別の形で痛感させられる転機が訪れます。
最初の会社が倒産した後、私はプログラミングを学び、IT業界に転職しました。 その後、元同僚から「別の同業他社が危機的状況だから、立て直しに協力してほしい」と要請を受け、製造現場に戻ることになります。
しかし、そこは想像以上に過酷な現場でした。 キーマンの退職、人材育成の余裕がない組織体制、そして何より「Excelより電卓を信じる」という経営方針。
私が最も衝撃を受けたのは、そこには「日報」すら存在しなかったことでした。
誰が、いつ、何に、どれだけの時間を使っているのか。 生産性を測るための基礎データが全く可視化されておらず、管理する側としては生産計画すらまともに立てられない状態だったのです。
この時、私の考えは一つ昇華しました。 かつてあれほど「無意味だ」と懐疑的だった日報。しかし、それがない現場に直面し、「たとえ手書きで不正確だったとしても、『データを取ろう』としていた行為自体は、当時のベストプラクティスだったのかもしれない」と再認識させられたのです。
3. 「手書き」の限界と、DXを阻む「本当の壁」
では、なぜあの日報は「邪魔」なものとして形骸化してしまったのか。
問題は、
- なぜそのデータが必要なのか、その「意味」が末端の作業員にまで伝わっていなかったこと。
- そして、人間の「怠惰」や「自己防衛」による小細工を許してしまう、「手書き」という古典的な運用が限界を迎えていたこと。
この2点に尽きます。
私は倒産した会社に在籍していた当時から、この「手書き」の運用にこそ問題があると考え、「開始時にバーコードを読み込むなど、デジタル化すればいいのではないか」と模索していました。 残念ながら、当時は予算などもあり、経営陣を納得させるには至りませんでした。
そして、立て直し先の会社で直面した「電卓を信じる」経営陣の姿。 これこそが、製造業DXが進まない根深い課題だと改めて痛感しました。
現場は「日報は邪魔だ」と形骸化させ、 経営は「過去の成功体験」から「デジタルは不要だ」と守りに入る。
この「経営と現場の断絶」こそが、可視化を阻む最大の壁なのです。
4. 私が「現場とITを知るSE」として目指すもの
私は、日報を改ざんした「現場の作業員」の気持ちを知っています。 現場の負荷を肌感覚で把握していた「中間管理職」の気持ちも知っています。 そして今、データがなく途方に暮れ、デジタル化を阻まれた「推進役」の気持ちも知りました。
経営陣の熱い思いは、現場に届かなければ「やらされ仕事」になります。 過去の成功は「挑戦」の結果であり、「守り」に入った瞬間に衰退が始まります。
だからこそ、私は「現場とITを知るSE」として、 無謀な挑戦(=高額なシステム導入)ではなく、 現場の負担を増やさず、その「意味」が正しく伝わる「小さな挑戦」を後押ししたい。
経営と現場の断絶を繋ぎ、現場の正確なデータを経営に活かす。 そんな、中小製造業の課題に本気で寄り添える人材になっていきたいと強く思っています。
「”意味”のあるデータ」に変える“小さな挑戦”を、一緒に始めませんか?
この物語は、私個人の「失敗」の記録です。 しかし、この「失敗」と「泥沼」の経験こそが、貴社の「お困り事」に誰よりも寄り添えるという、私の“伴走者”としての「原点」です。
- 「ウチにも『形骸化』した日報(データ)がある…」
- 「何から整理すればいいか、“根本”が見えない…」
- 「Excelと電卓の経営から、本気で脱却したい…」
私たちがご提案するのは、高価なシステムの「丸投げ」ではありません。 まずは貴社の「お困り事」をヒアリングし、低コスト(ROI不安記事)から始められる「“小さな挑戦”」に、私たちが“伴走”します。
まずは貴社の「お困り事)」を、私たちに聞かせていただけませんか。
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