【コラム】DX推進=コスト削減だけでは勿体無い! 中小企業だからこそできる、ITを使った「宝探し」経営とは

「AIやDXは、ウチにはまだ早い」と思っていませんか?
・「AIやDXと聞くと、大企業が巨額の予算を投じてやる『難しい話』だ」
・「ウチは人手も予算も限られている。まずは目の前の業務効率化が先決だ」

中小企業の経営者であれば、そうお考えになるのも無理はありません。
しかし、もしDX推進の目的を「コスト削減」や「業務効率化」だけに設定しているとしたら、その投資は半分しか活かせていないかもしれません。

なぜなら、DXの本当の価値は「守り(効率化)」だけではなく、むしろ「攻め(新しい売上の種を発見すること)」にあるからです。そして、その「攻め」のDX推進は、リソースが限られ、小回りが利く中小企業にこそ、大きなチャンスをもたらします。

そのキーワードが「セレンディピティ(偶然の幸運な発見)」です。

観察の領域において、偶然は構えのある心にしか恵まれない
(Dans les champs de l’observation le hasard ne favorise que les esprits préparés.)

Wikipedia

「ベテランの勘」に眠る宝

セレンディピティとは、探していなかったものを偶然見つけ出す能力のこと。例えば、実験の失敗から大発見が生まれるようなケースを指します。

実はこれ、多くの中小企業の「現場」で日常的に起きていることではないでしょうか。

長年付き合いのあるA社から、いつもと違うパターンの注文が来た。「何かあったな?」と経営者がピンときて電話を一本入れたら、A社の新事業の相談につながった。

ベテランのBさんが、機械の「いつもと違う微妙な音」に気づき、部品を調整したら、大きな故障を未然に防げた。

これらは、経営者やベテラン社員の「勘」や「経験」という名のセレンディピティです。しかし、これらは「暗黙知」であり、その人にしか分かりません。社長の目が届く範囲、ベテランの手が届く範囲でしか、その価値は発揮されません。
もし、DXやAIを使って、この「勘」や「暗黙知」を「見える化」できたらどうでしょう?

DXは「新しい売上の種」を見つける虫眼鏡

DX推進の本質は、これまで見えなかったものを「見える化」することです。ここに、中小企業のチャンスがあります。

事例1:地元の製造業(「ベテランの勘」を会社の資産に変える)

 ある町工場が、ベテラン職人Aさんの「技術継承」に悩んでいました。

当初の目的:
 Aさんの引退に備え、作業をマニュアル化するために、簡単なカメラとセンサーで作業データを記録し始めた。

偶然の発見:
 データを分析すると、Aさんだけが機械の速度をわずかに緩める、という謎の行動パターンを発見しました。

結果:
 Aさんにヒアリングすると、「不良が出る前は、モーターの音が微妙に高くなる」という「勘」で調整していたことが判明。AIがその「音の変化」を学習し、今では若手社員でも不良発生前にアラートを受け取れるようになりました。

「技術継承」という守りの投資が、結果として「不良率の劇的改善」という攻めの経営強化につながったのです。

事例2:小規模なECサイト(「顧客の声」から新商品が生まれる)

 あるニッチな商品を扱うECサイトが、問い合わせ対応の自動化にAIチャットボットを導入しました。

当初の目的:
 1人で対応していた電話やメールの負荷を減らすこと。

偶然の発見:
 導入後、チャットの会話履歴(ログ)を社長が何気なく眺めていたところ、「(売れ筋の)商品Xについて質問した人が、なぜか(全く別の)商品Yの『使い方』も聞いている」というパターンが多いことに気づきました。

結果:
 社長自身も気づいていませんでしたが、顧客はXとYを組み合わせて使っていたのです。すぐに「X・Yセット」を新商品として売り出したところ、客単価が1.5倍になりました。

「業務効率化」を目指していたら、「新しいヒット商品のヒント」という宝を発見したのです。

「効率化」の先にある「宝探し」を始めよう

大企業が目指すDX/AIは、多くの場合「コスト削減」や「大規模な効率化」です。しかし、中小企業の強みは、顧客との近さ、現場のノウハウ、そして経営者の即断即決です。

高価なシステムは必要ありません。まずは、今あなたの手元にある「日報」「問い合わせメール」「売上データ」「工場の稼働記録」といった情報を、AIという「新しい虫眼鏡」で眺めてみることから始めてみませんか。

AIに仕事を奪われるのではなく、AIを「社長の勘を裏付ける、あるいは超えるヒントをくれる相棒」として使う。
「効率化」によって生まれたわずかな時間を、この「宝探し」に使うこと。それこそが、リソースが限られる中小企業だからこそ実践すべき、賢いDX推進術であり、未来への最大の投資となるはずです。

とはいえ、いきなりAIの導入障壁は高い。まずは、社内のデータの整理、アナログ財産からデジタル財産への変換を進めていくのは悪くないのではないでしょうか。
積極的な行動をもって幸運をつかみ取る。それこそが、今回の題材。『セレンディピティ』なのです。

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